レザーアートではどんな仕事をされていますか?
最終工程のミシン作業にまわす前に、修理箇所の補強などを行っています。たとえば、バッグの革が切れてしまって、そのままではミシンがかけられない状態になっている箇所に、新しい芯材を入れて縫い直せるようにするなど、バッグそれぞれの状態に合わせて補強しています。楽しそうな仕事だなぁと思って入社したのですが、いざ作業に入ると「傷つけたらどうしよう」とあたふたしてしまって…。先輩から「うちは修理屋。失敗してもフォローできるから、びくびくしないでいいよ」と、よく声をかけてもらいました。
この仕事にやりがいを感じるのはどんなときですか?
基本的に、修理に出されるお客様と直接接する機会はないのですが、以前、たまたま友人のお母さんの財布を修理する機会に恵まれまして。修理して納品する前に軽く磨いてお渡ししたんですね。するとお母さまが「磨いてくれたんやね、ありがとう!」って気づいてくださったんです。私としては、ちょっと気になったので拭いただけだったんですけど、お客様の気持ちに応えることができる仕事に就いているんだなと実感できた出来事でした。いまも「お客様の気持ちに応えられるように」と考えながらお仕事をしています。
この仕事に就いてから、感じたことはありますか?
うちに来る商品は、みんな持ち主さんに愛されてるんだなと思います。どんなに使い古されたものでもやってきますから。確かに私自身も、初給料でがんばって買った靴を直して履いていましたので、その気持ちはとてもよくわかります。同じブランドの財布でも、中身を開けたら状態が違っていたり、使い古されたものだと形が歪んでいたりして、一つとして同じ状態のものはありません。それに、ブランドごとに修理に対する決まり事もありますし、12年続けても難しさを感じることも多々あります。それでも、自分の手を使って皆さんの愛着ある品々を直していくことに喜びを感じています。
目標を教えてください。
ミシンを覚えたいですね。ミシン工程を覚えることができたら、今、私がやっている補強作業についても、もっとこうしておいた方がいいとか、こうすればミシンがかけやすくなるんだなと、わかってくると思うので。自分の持ち場からつながる仕事を知ると、より流れもスムーズになると思います。当社には、本当にすばらしい先輩がそろっているので、今も勉強の毎日です。
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